よくある体験プログラムを見直してみよう

■よくある「体験」プログラムを見直してみよう

 学校現場をはじめ、地域でも「ボランティア活動」として取り組むことの多い「体験学習」を表にまとました。どのテーマもそれ自体が目的ではなく手段です。そもそも何が目的なのか、課題への視点、取り組み方を振り返ることが必要です。各テーマごとに関連する「県内のおすすめNPO」も記載しています。これらのNPOにプログラムの展開の仕方など具体的に相談することもできます。
 
 

テーマ・現状
※おすすめNPO

課題

以下の視点で、
何が目的なの確認!

●クリーン作戦「ゴミ・ゼロ作戦」「清掃活動」などの活動。地域や学校、海浜などのゴミを拾ったり、清掃することが多い。

※NPO法人沖縄海と渚保全会/沖縄リサイクル運動市民の会/佐敷干潟と遊び学ぶしあわせまねきの会

●ゴミを拾うことだけが目的化している。

●ゴミを拾って終わりではなく、その前後の展開が重要。

●「どうして、こんなところにこんなゴミがあるのか」という興味・関心を次につなげきれていない。

●海浜や河川など自然環境のすばらしさや生態系の仕組みと、ゴミがあることでどのような影響があるのかを知る。
●現状理解。何がどうしてゴミとなっているのか(消費生活の問題、商品に対する見方)、ゴミの環境への影響を知る。
●自分の暮らしとのつながりを知る。
●できることは何か考える。グリーン・コンシューマー、環境を長いスパンでとらえる。

●花いっぱい運動土と堆肥、種、プランターを買って草花を栽培することが多い。育てやすい植物、見た目「美しい」植物を育てることが多い。苗を買って咲き終わったら処分している。

※NPO法人エコ・ビジョン沖縄

●沖縄の在来種にはないものを栽培することが多いため、もともとある生態系を壊しかねない。

●水道水、土や堆肥は購入、咲き終わったらゴミとして処分するの繰り返しでは自然環境を守っていることにはならない。

●緑化の背景には地球温暖化、CO2、乱開発の問題が根底にある。緑を増やすことが緑化というのは短絡的。●自然観を育むには、海、山、川も含めた地域の自然環境全体への関わりが必要。

「花いっぱい」は目的ではない。手段。何が目的なのか整理し、その目的のために効果的な手段であるか確認する。
【環境教育】人間活動により発生する問題(廃棄物・ゴミ・CO2・開発)と、地球上の野生生物・自然環境の激減の問題などのテーマがある。

【理科教育】植物・生物の育ち方や機能を知ることが目的。栽培後食べれる「野菜」の方が、生命の循環を体感できるので教育的。

【情操教育】美しさは主観。「これがいい」と無批判に価値観を押し付けていないか工夫が必要。

●国際理解と募金活動「飢餓」「貧困」など様々な国の子どもたちの状況を学んだり、国際理解や開発をテーマにした活動。

※沖縄NGO活動推進協議会

●「飢餓」「貧困」の現状について知らせているが、どうしてそのような状況になったのか、そのことに私たちの暮らしがどう関わるかの視点が欠けていないか。

●支援・援助とは何か議論が必要。安易に募金や物を送る支援だけを行っていないか。社会構造への視点がないと「恵んでいる」ことに終始してしまう。

●人間の尊重と、世界には多様な文化があり、共生していくことを理解する。
●私たちの暮らしが、世界とつながっている構造を理解する。
●問題だけでなく原因を知る。飢餓や貧困は、その国だけの問題ではなく、私たちの国のあり方や暮らしと関わっていることを理解する。
●「物」を送る際には、相手が必要としていて受け入れているところがあるか、条件は何かを送る側がきちんと把握すること。
●募金については、何のために誰がどのように使われ、これまでどう報告されているか確認すること。
●フェア・トレード(公正な貿易)

●アイマスク・車いす体験「障碍者理解」のための体験として取り組むことが多い。

※沖縄福祉教育研究会/わくわくSTT

●「できない」体験で終わっているのでは。「違い」や「多様性」の理解につながる展開が必要。

●障害を理解するだけでなく、障害のあるその人個人「○○さん」との出会いとなっているか。

●自分の身近な、障碍のある人との関係が変わるか(学校で障碍理解を行ったことで、養護学級の子どもたちと仲良しになったか)

●障碍の「できないこと」だけでなく、障碍のある人自身の生き様、できること、秀でている面も理解する。
●「違い」を大事にする。
●その方自身と出会っていく。
●「~してあげる」ではなく、「ともに生きる」という視点から、まちづくりを見直す(バリアー・フリー・チェック)
●1回の講話や体験では相互理解はむずかしい。継続的な展開が重要。

●お手紙や、施設訪問高齢者理解として、地域のお年よりに年賀状やプレゼントを送ったり、施設訪問、高齢者疑似体験などが多い。
※市町村社会福祉協議会のボランティア担当

●「できない」体験に終わると、「してあげる」関係になってしまう。

●一方通行の交流になりがちではないか。

●年齢を重ねてきたその方々の知恵や、歴史を知る。(昔遊び、地域の歴史、経験した話など)
●双方向の交流、出会い、関係性をつくる。
●1回の講話や体験では相互理解はむずかしい。継続的な展開が重要。