リスクマネジメントって何ね?
   「活動中、ボランティアがケガをしたらどうしよう」「もし団体の活動資金を紛失したら・・・」。日頃の活動のなかでこのような心配ごとはありませんか。もし、このような事故が発生したらどうしますか。団体の大小に関わらず、草の根の活動しているNPOにとって何らかの「リスク」はつきもの。その「リスク」にNPOがどう向き合っていくか、そしてどう対応していけるか紹介します。

 

リス ク マネジメ ントって何ね!

 「リスク」と聞いてみなさんは何を連想しますか。活動中の思わぬ事故などが連想できそうですね。日本損害保険協会によると「リスク」とは「損失が発生するかもしれない不確実な要素」として定義しています。
 NPO(ここでは、小規模のボランティアグループからNPO法人まで、広く非営利の組織としてNPOと総称します)にとってリスクとはどういうものがあるでしょうか。NPOはそれぞれの問題意識とミッション(使命)をもって活動する非営利の組織。そこでの「リスク」とは、そのミッションの達成を阻む要素といえます。具体的には、ヒト・カネ・モノ・信用・情報を失うことが考えられるでしょう。特に小規模のNPOは事業や組織の運営に毎日精一杯。大きな組織であれば何か起きたときのダメージもある程度は吸収できるかもしれません。しかし、組織が小規模になればなるほどダメージは甚大。組織の存亡にも大きく関わってきます。「リスクマネジメント」とは、それぞれの団体にとって、どのようなリスク(損失)が存在するかを知って、そのリスクに対策を立てていくことです。

 

NPOにもリスクマネジメントは必要!
  毎日多忙な日々を送っているNPOにとって、なぜリスクマネジメントが必要なのでしょうか。2005年4月からは個人情報保護について法律が整備され、NPOが持つさまざまな情報も保護していかなければならないと同時に漏洩や紛失といった「リスク」も認識されはじめています。もし個人情報が漏洩・紛失した場合、その損失は情報のみならず、N POの「信用」にまでおよぶ可能性があり、組織の根幹を揺るがしかねない事態にもなりかねません。
 また介護・福祉の分野のように、人を対象に活動するNPOにとって、万が一、人命に関わる事故が発生した場合、その損失は金銭的なものにとどまらず、社会的信用の喪失、スタッフの流出、さらにはそこから二次的に発生すること(例えば、事故対応の過労によるスタッフの入院など)を考えればその損失は図りしれません。
 しかしNPOが社会的な信用を得ながら、さまざまな社会の課題に取り組んでいくためにはこのようなリスクはつきもの。リスクをゼロにするということは、全く活動をしないと同じこと。NPOがそのミッションを達成し、目指す社会を実現するためには、たとえ小規模のNPOであってもリスクマネジメントを行うことは社会的な責任でもあります。そのためにも、何よりもNPOのさまざまな活動において、その目的(ミッション)の達成を阻害し、逆に損失に変えてしまう不確実な要素を知り、どのように対策を立てていくかが問われてくるでしょう。

 

リスクマネ ジメント は誰が行うか?
 ではリスクマネジメントは誰が行えばいいのでしょうか。一言でいうと「組織に関わるすべての人」が行う必要があります。しかし実際に何らかの事故が起こってしまった場合「みんなの責任」ではあまりにも無責任。大切なことは「誰がリスクマネジメントの責任者となるか」という点と「活動においてどのようなリスクがあるのかを誰が一番よく知っているか」ということ。具体的には、組織内でリスクマネジメントを担当する責任者をおいた方がよいでしょう。そしてその責任者を中心に、リスクの存在を一番よく知っている最前線で働いているスタッフやボランティアを含めて、なぜ私たちの団体でリスクマネジメントを行うか全員で共通認識を持っておきましょう。その先にある目的がはっきりしないままでは、リスクマネジメント責任者だけに過重な負担が増えてしまうということも起こりかねません。

 

どうやったらリスクマ ネジメントができるの?

【STEP@】リスクの発見・把握
リスクマネジメントは、損失が発生したらどうするかではなく、どういう損失が予見されるかを考え、予見できるものから対処していくことが大切です。その体制を整え、実際にリスクマネジメントを行っていくには、まず最初にそれぞれのNPOで「リスクの特定」を行いましょう。活動の分野によってはリスクの中身も大きく違ってきます(表1参照)。リスクの特定に有効な手段は、「ヒヤリとしたこと」「ドキッとしたこと」を記録にまとめるこ と。「たいした事故 につながらなかったから、特にリーダーにも伝えなくてもいいや」と思ってしまいがち。しかし、労働災害における「ハインリッヒの法則」(P2下段参照)でも示されているように、多くのリスクはある日突然発生するのではなく、その前にいろんな「サイン」が潜んでいます。(NPOにとって)いかにこの「サイン」を発見し、スタッフで情報を共有するかが肝要になってくるでしょう。その情報を共有する有効な手段の一つとして、記録をつけることは「サイン」の発見から「リスクの特定」へとつながっていきます。

【STEPA】リスクの評価・分析
次にそのリスクの分析・対処(プランの策定)を検討していきましょう。リスクの発生頻度はどのくらいか、もし発生した場合の損害はどのくらいか、洗い出されたリスクに対応していく優先順位を決めていきます。


【STEPB】リスクの処理
そして、具体的なリスクに対処していきます。対処の有効な手段の一つとして、さまざまな保険への加入もあげられるでしょう。詳しくは、Chu第7号の特集をご覧下さい。

【STEPC】確認フォロー
一連のステップを経てリスク処理を行ったら、自分達の団体にとってのリスクマネジメントの目的が果たされたのか確認していきます。しかし環境の変化などにより新たなリスクが発生することもあります。そのため継続したリスクマネジメントを行いながら対処方法を見直していくことが大切です。

保険加入≠リスクマネジメント
 具体的なリスクへの対処として保険に加入することが有効な手段の一つとしてあげられますが、保険に加入することがリスクマネジメントのすべてではありません。保険はあくまでも金銭的な損失を補償するものでしかないのも事実。例えば、多くのボランティアを受け入れているNPOにとって、ボランティアが自分の役割や責任の範囲を把握せずに行動することは思わぬ事故だけでなく、サービス対象者の安全をおびやかしたり、団体の信用にも関わってきます。そうならないためにも、ボランティアの選考や研修、フォローアップ、合意書の取り交わしなど、団体内でボランティアに関するルールを作成しておくこともリスクマネジメントの一つです。

 

 

リスクを知って予防・対策をしよう
 どんな団体でも活動を行っていく上で、様々なリスクを背負っていることがわかったところで、今度は、そのリスクに対して予防・対策プランを立てることを考えてみましょう。
 団体規模の大小に関わらず、どんなNPOでも活動していく以上、様々なリスクが付きまといます。それを理解した上でそれぞれの団体の活動に合わせた視点から予防・体制を整えておくことで、リスクを回避・軽減できたり、補填できるようになります。
 「備えあれば憂いないし」ということで、まず自分の団体に関わるリスクをあげてみて、できることからやってみましょう!

                                                            

               次回は、NPOと行政の協働 です。 お楽しみに!

 

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